The 60th Anniversary of the Establishment of Diplomatic Relations between Myanmar and Japan

Japan-Myanmar Lacquer Craft Exchange Research Program, 2014

2 - Workshops, 2014

9月12・13日 講演後〜12:00
Lacquerware Technology College 講堂・ワークスペース
 
日本とミャンマーの漆工芸技術に関するワークショップ
 
日華化成有限会社 山本修氏からの顔料のご提供により、日本で開発された人体に害のない顔料とミャンマーの漆を使用した色漆表現に取組んだ。パーマネントカラー黒箱の赤口・黄口・レモン・新橋・青竹・草・空・もも・紫・白の10色漆を20gづつ調合していく。アルコールで顔料を湿らせてから乳鉢でミャンマー漆を混合する。ミャンマー人技術者の指導を受け、ミャンマーで朱漆などに入れるピーナッツオイルを少量混ぜて艶と粘度を調整した。参加者はあらかじめ考えてきた図案を黒漆板転写し、各自色漆をパレットにとり、筆を使用し自由な表現に挑戦していった。ミャンマーで使用されている色漆は朱(赤口)・朱(黄口)・黄・緑(黄に藍で着色)・オレンジ(朱と黄を混合)のみであるので、日本の多数の色を使用し絵画的な表現に挑戦している人が多くみられた。ただ、粘りのある色漆を筆で描くことに慣れないようで、道具の扱いに戸惑う人もいた。この試みから作る人にも使う人にも安全安心な漆器の制作、色漆を使用した新たな漆表現や漆器開発が期待されよう。
 

3 - Exhibition 2014

3-交流展示 9月10日〜13日 9:00〜16:00 Lacquerware Technology College講堂・展示スペース
ミャンマー及び日本の漆工芸作品による交流展
“Japan-Myanmar Lacquer Art Exhibition” Commemorating 60 Years Friendship and 10 Years Exchange Program”
 
日本24名、タイ・カンボジア・ベトナム・台湾在住の作家4名、ミャンマー30名の作品を一堂に約70点の展示を行った。日本と外国の作家は、この十年間の活動に参加いただいた方々で、伝統工芸、器、オブジェ、立体造形、ジュエリー、漆画など幅広い作品が展示された。また、乾漆・螺鈿・蒔絵・変塗り・蒟醤など加飾技法も幅広い作品が並んだ。ミャンマーの作品は、ミャンマーの伝統的な蒟醤・箔絵に加え、変塗りや乾漆等の日本の影響を受けた作品もあった。また供物器や仏像などの伝統的な形式の作品が多いが、漆画やお面、柱を囲む丸机、飾棚、ジュエリースタンドなど新たなデザインに挑戦した作品もあった。
9月11日14:00より参加作家によるアーティストトークを開催した。各作者の作品への思いや、表現技法について紹介した。特に技術について質問がでるなどトークを通して新たな交流が生まれたようである。
 
講演・技術公開, 公開ワークショップ、交流作品展示を通して、バガンの漆工芸に携わる人々のみならず、ヤンゴンや他の町からも来場者がおり、外国人観光客や一般の人々へも、活動の内容が伝わった。増村紀一郎氏をはじめ日本の専門家による講演や技術公開・ワークショップを通して、漆工芸の可能性・素晴らしさを伝え、さらなる理解と交流を深めることができたと考えている。特にプログラム最後の質疑応答では、漆器業者や大学の技術教員から漆器のデザインや、顔料についての多くの質問があり、意見交換ができたことから日本とミャンマー、東南アジアの漆文化の交流と発展に繋げる道筋となれればと考えている。
 
民間の漆器業者の中には、積極的に当事業へ参加し、日本や諸外国の漆工芸技術やデザインを吸収し、漆器生産へつなげていきたいと向上心が高く、柔軟な姿勢が見られた。一方、漆芸技術大学の実情は、もともとLacquerware Training Schoolからスタートした漆芸技術習得のための学校からInstitute、そしてCollegeへ昇格した経緯があり、その過程で学生の漆工芸以外の教科への関心が高くなり、卒業後も漆工芸に関わる学生は少ないことから、本来の教育理念から大きなズレが生じてきていると言える。このような現状から漆工芸教育に関し、技術習得のみならず、デザインやマーケッティングに関する意識の向上、芸術的な観点からの漆工芸教育へ転換していく時期にきているのではないだろうか。
 
今後も、アジア漆工芸学術支援事業は、ミャンマーでの活動を継続していく予定であるが、ミャンマー以外のアジアの国々で漆工芸に携る人々とのネットワークが構築されてきており、ミャンマーでの活動の経験を活かしつつ、交流範囲をアセアンの国々へと広げていきたいと考えている。交流を継続していくことで、漆工芸の可能性・素晴らしさを伝え、さらなる理解と交流を深め日本とアジアの漆文化の発展に一助となればと考えている。
 
期間中、NHKの取材班による事業の取材がはいり、日本国内放送と国際放送にて当事業の取組みが紹介され多くの反響をいただいた。
尚、当プログラムは、日本からご参加いただいた方々とミャンマーの関係機関のご協力、美術工芸振興佐藤基金、東芝国際交流財団からの助成を受けて行われた。

 
 
 
井波氏によるレクチャーの様子
 
ベトナム式研ぎ出し表現による漆画ワークショップの様子
 
 
 
 
 

調合した色漆で各々が漆画をえがいていく

調合した漆を漉す

色とりどりの漆で描いていく

出来上がった作品

作品シャン州の風景でしょうか

出来上がった作品

交流展の展示風景 日本人参加者の作品

ミャンマーの出品作品

アーティストトークの様子

アーティストトークの様子

多くの参観者で賑わった

漆芸技術大学の学生も興味深々

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