Workshops & Lectures 2013

2013年8月30日~31日
参加教員:約30名,学生:約70名
民間漆器工房関係者:約30名
於・漆芸技術大学(バガン)

講義:
 ・当プロジェクトの変遷と今年度の予定 (松島)
 ・日本の漆器産地ついて(井波)
 ・Current States of Taiwanese Lacquerware (陳)
 ・Current States of Thai Lacquerware (Sumanatsya)
 ・ベトナムの漆 (安藤)

ワークショップ:
 ・ベトナムの漆ワークショップ (安藤)

講師:
 井波 純 (会津短期大学)
 陳 淑華 (台湾師範大学)
 Sumanatsya Voharn (Chiangmai University)
 安藤 彩英子(ハノイ在住漆画家)
 松島 さくら子(宇都宮大学)

参加者:
 いらはらみつみ、塚田 尚三、吾子 可苗、小沼 直治、小沼 利枝、Ken Dillon、Kai Borwel、Jinto Borwel

1日目(2013年8月30日)
・9年にわたる当事業の交流活動内容を振返り、今年度の予定を説明 (松島)
・ミャンマーと日本の漆を通した交流・日本の漆器産地の現状(会津地域を中心に) (井波)
・台湾の漆工芸現状 (陳)
・タイの漆工芸現状 (Sumanatsya)
・ベトナムの漆芸と漆画-1 (安藤)

 日本・台湾・タイ・ベトナムと漆芸文化のある国々の現状を各専門家に各国の漆工芸事情について講義をしていただき、幅広い内容となった。各国の現状を互いに比較し、技術面での参考点、或は問題点も浮き彫りとなり、今後の漆工芸を考える機会となったのではないだろうか。
 井波氏は、福島県の会津若松市で活動をしている。会津の漆器制作に関わっていた方が戦後ミャンマーとの漆を通した交流を行なっていた時の記録を振返ることからはじまり、現在当事業を通して日本とミャンマーとの交流が続いており、これからも継続していくことを確認した。会津の漆芸技法を中心に、その制作工程をビデオを鑑賞しながら詳細解説を行なった。
 陳氏には、台湾の漆工芸の歴史と変遷を多くの画像を使用し紹介した。現在陳氏の大学での学生の取組みについても紹介した。
 Sumanatsya氏はタイのチェンマイ在住で、漆素材をとりいれたプロダクトデザインを手がけている。タイの漆工芸の生産も制作者も減ってきている現状をふまえ、その歴史と技術、生産品を一同に紹介した。
 安藤氏はハノイ在住の日本人漆画家であり、翌日のワークショップの講師である。ベトナムの漆芸の概要を紹介しワークショップの説明予告を行った。

2日目(2013年8月31日)
・ベトナムの漆芸と漆画-2 (安藤)
・ベトナムの漆研出し表現ワークショップ(安藤 他)

 2日目は、安藤氏によるベトナムの漆に関する講義で、ベトナム漆芸と漆画の歴史と技術について紹介し、ベトナム式研ぎ出し表現による漆画ワークショップと行なった。ベトナム漆芸の歴史は、発見されている漆採取用具などから2000年もの歴史が確認されている。
 中国の影響を強く受けた漆工芸から、フランス植民地時代のフランス人教師による漆画への取組みや推進により、漆画が誕生した変遷を紹介した。また、現在経済発展と共に変化する実情についても触れた。
 ワークショップは、あらかじめ文様を色漆や螺鈿にて施した手板20枚をベトナムで作成しておいてもらい、それらをサンドペーパーを使用して研ぎだし、磨き粉にて研磨する一連の作業を行なった。漆画はいくつかのデザインパターンで作成してきてもらったので、実際に研ぎだし文様が現れるまで何が描かれているのかわからない。研ぎすぎて文様が所々消えてしまったグループや用心して研いでなかなか文様が出てこなかったグループもあった。最初は荒いサンドペーパーで研ぎ、次第に細かいものに変えて、表面を研磨していく。最後に手のひらに磨き粉をつけ擦り磨く。ミャンマーには木の化石から採取した微粉を磨きに使用することがある。ミャンマーにも変わり塗りの漆器が作られているが、色漆や貝を使用し、具象的な文様を表現するものはないことから、ベトナムの漆画ワークショップを通して、更なる表現の幅を広げていってもらいたいと期待する。

 9回に及ぶ当交流事業で、毎回日本の漆技術や表現の紹介、漆に関する材料や漆の知識を伝達することを重ね、当事業に対する期待も大きくなってきていると感じている。ご協力いただいたミャンマー漆芸技術大学、漆器工房、日本・台湾・ベトナム・タイからの協力参加の関係各位に感謝申し上げます。


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井波氏によるレクチャーの様子

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ベトナム式研ぎ出し表現による漆画ワークショップの様子

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安藤氏によるワークショップの様子

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実演の様子

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研ぎ出した漆画

P1100039.JPG陳氏による台湾の漆工芸に関する講義 P1100050.JPGSumanatsya氏によるタイの漆工芸紹介 P1100106.JPGワークショップの様子

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バガン地区の漆器製造業者の方々など、多くの方々にご参加いただきました。写真に写っているのは一部の参加者のみです。