Asian Lacquer Craft Exchange Program, in Myanmar
Workshops & Lectures 2007

2007年1月5日~6日
参加教員:約15名,学生:約15名
漆芸技術大学(バガン)
 
講義:
 ・日本の風土と漆器の作例紹介
 ・日本漆工芸映像の上映
演習:
 ・日本の漆器や漆工芸作品の利用
 ・日本の漆器や漆工芸作品を持参し、実際におせち料理・
 ・寿司など盛りつけ、日本の漆器の用途や活用、日常での使用例などを紹介した。
 ・ミャンマー漆器デザイン提案ー主にミャンマー側教員を対象に、ミャンマーの風土や生活習慣に根ざした漆器デザインプ レゼンテーションを行った。
講師:
 登根円(漆芸作家)
 松本由衣(東京芸術大学)・
 林宏(東京芸術大学)
 松島さくら子(宇都宮大学)
 
1日目(2007年1月5日)
・ワークショップ・レクチャー2006のおさらい(登根)
 昨年、及び一昨年の画像記録をまとめ、登根氏が講義した。
 
・ワークショップ・レクチャー2007について(松島)
 今回のワークショップ・レクチャーの主旨を伝えるとともに、「用の美」の概念を通した、工芸表現に関して、また、日本の漆芸文化の背景を衣・食・住・信に分類し、様々な作例や使用風景を画像にて紹介し、教員へのワークショップ(ミャンマーの風土・伝統をふまえた漆芸表現提案する)のヒントとした。
 
・日本の風土と漆器の作例紹介 (松島)
日本の漆芸作品を持参し、簡単な日本の料理を盛りつけるなど、日本の漆器の用途や活用、日常での使用例などを紹介した。椀、皿、箸、曲げ輪、お重、杯、装身具などを持参し、みそ汁・のり巻き・稲荷寿司・胡麻和えを作り、おせち料理・和菓子・日本酒・抹茶などと共に盛りつけ、日本の漆器の使用は、特に食文化との関わりが深く、現代に伝わっていることを示すことができた。ワークショップ参加者は、日本の漆器の使用例を目の当たりにすると共に、日本料理を食し、食材や食べ方、各料理の由来など質問がでるなど、始終和やかにとり行われた。
 
1日目(2007年1月6日)
・日本の漆芸動向2006(展覧会レポートなど 林)
「Japan & Korea 漆 Arts Exhibition」を中心として、昨年の日本での漆芸動向をレポートし、作品解説を行った。
 
・ミャンマー人留学生の日本漆芸学習報告(Tin Mar Winによる近況報告 松本)
 Tin Mar Winの日本での生活や学習をビデオにまとめたものを放映し紹介した。具体的な内容は、東京芸大での授業・作業風景、寮での生活や、食生活、またミャンマー語によるメッセージなどで、参加者はTin Mar Winの生活を興味深そうであった。また、芸大学生のランチ風景などまとめた映像も紹介し和やかに進行した。
 
・日本の漆の材料・技術に関するビデオ鑑賞
 (日本の伝統工芸品産業全集, 4 塗る ~輪島塗~, 1995
 
・ミャンマーの風土と器、その他のデザイン提案ワークショップ
 主にミャンマー側教員を対象に、ミャンマーの風土や生活習慣に根ざした漆器などのデザイン提案ワークショップを行った。
 
・教員は、経済や英語、コンピューターなどの漆以外の教員が約8名、漆の教員が約4名と漆の教員の参加の少なかったことが残念である。二学年の学生10名ほども参加した。普段制作を行っている教員は、いくつかの案をだしたが、それ以外は漆器をデザインする機会がなく、どれも既存の形体のものからイメージを展開することに不慣れのようである。ただし、この機会に、自分自身と漆器との関わりとして、ミャンマーの風土や伝統、生活習慣に根ざした漆器の展開、或は現代の生活に応用した新しいデザイン、観光地であることから土産物としての漆器・輸出向けの漆器の展開など、考える機会となったのではないかと思う。
 
・教員・学生から、日本の漆芸の背景を学ぶとともに、異なった表現方法や自己表現のアプローチ試みなど、貴重な授業であったとの感想を述べていた。来年以降も続けてほしい、短期間ではなく、まとまった期間滞在して教えてほしい、など昨年同様リクエストがあった。
 
・漆芸を通したレクチャー・ワークショップによる、我々の働きかけに応えるかたちで、女性教員を中心に、モヒンガー(ミャンマー風ヌードルスープ)やミャンマー風おやきなどをお返しに作ってくれ、お互いの食文化理解を深めるとともに、心の通った交流となった。

第3回ワークショップ・レクチャー

 

第3回ワークショップ・レクチャー

 

炭をおこして、日本のお米を炊いて、日本料理の準備

 

季節はお正月、おせち料理をはじめ日本の料理を漆器にもりつける

 

盛りつけられたのり巻きやいなり寿司

 

和菓子ももりつけました

 

はじめて見る日本料理

 

皆さん料理だけでなく盛りつけや漆器の使い方など興味をもってくれたようだ

 

試食会

 

みそ汁も酒ももっていきました

 

ミャンマーの風土や生活習慣に根ざした漆器などのデザイン提案