Asian Lacquer Craft Exchange Program, in Myanmar
Workshops & Lectures 2005

2005年1月6日~7日
参加教員:約15名,学生:30名
漆芸技術大学(バガン)
 
講義
 ・日本の漆工芸・現代の漆工芸
 ・各国の漆樹と漆掻き比較
 ・日本の漆工芸教育現状
演習
 ・しぼ漆による変塗りの手法
 ・ミャンマーシャン州の紙を利用した紙胎造形
講師
 登根円(漆芸作家)
 松本由衣(東京芸術大学)
 松島さくら子(宇都宮大学)
 
 
1日目(2005年1月6日)
スライドレクチャー(日本の漆芸・現代の漆芸)
 日本の漆の変遷(縄文から伝統漆芸・現在の表現までや、日本・中国・ベトナムの漆の木や漆掻きの方法など画像をスライドにて紹介した) (松島)
 ワークショップの技法の説明・プロセスをスライドにて紹介した。(登根)
 
ワークショップ(しぼ漆による変塗り)
 変塗りは漆器の表面に凹凸をつけ、金属粉や色漆を塗重ね最後に研ぎだすことによりその断面を見せる装飾技法である。漆は豆腐や卵白などタンパク質と混ぜることにより、粘く変化する。これをしぼ漆という。このしぼ漆に使用する豆腐を、スタッフに頼んでおいたのだが、用意してくれたのは黄色い豆の豆腐でニンニクや塩の味付きのものでだった。塩分は漆の乾燥を遅くさせるので心配であったが、何とか漆と混ぜてしぼ漆をつくることができ、変塗りの仕掛けを行うことができた。ミャンマーでは、漆に豆腐を混ぜることは全く行なっていないので、漆の粘度の変化に皆驚いているようであった。このしぼ漆を使用することによる表現のバリエーションを見せることができた。(登根)
 
2日目(2005年1月7日)
スライドレクチャー(日本の漆芸教育現状)
 東京藝術大学の漆芸科の授業カリキュラムをスライド等にて紹介した。授業の様子、学生の作品など日本の漆芸教育の様子を伝えることができた。講義の途中、日本から持参したプロジェクターが、停電のためストップしてしまい一時中断する場面もあった。停電は毎日のことであり、今後の電気機器の使用には注意をしなければならないと痛感する。(松本)
 
ワークショップ(パルプ胎造形演習)
 パルプ胎造形は、小さな風船を膨らましその周りに、たらいに水をはりトイレットペーパーを溶かし、さらに数センチに切ったスタッフを混ぜたものを、網ですくって風船にのせていく技法である。ミャンマーでは、竹を編んだり捲いたりして成形したものが主な漆器の胎であるが、ミャンマーで身近に手に入る材料であるシャン州の紙を使用し表現の可能性を探ることができればと考えてこの技法をスタートアップとして設定した。
 風船が登場すると、学生は風船を膨らませ飛ばしたりして無邪気に遊ぶ様子もみられた。(果たしてこちらのワークショップの意図は伝わっているのだろうか...と考える) 実際に風船に沿って溶かした紙の繊維を張り込んでいき成形できた。ワークショップは成形するところまでで終了だったが、風船を乾かして漆を塗り器に展開するところまで見届けなければならないと感じた。昨日同様40名ほどが参加した。(松島)

ワークショップ・レクチャーを終えて展示館の前で

 
 

レクチャーの様子

 
 

ミャンマーシャン州の紙を利用した紙胎造形

 
 

風船に水に溶かした紙をのせて成形してゆく